技術を教えるときの7つのポイント

オンラインスクールの講師として約4年、WebデザインやWebサイト制作を教えていて気づいた、教えるときのポイントをまとめました。

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この記事は動画でも紹介しています。動画派の方はぜひどうぞ!

1. 目的を明確にする

今やってる事は何が目的なのか、なぜ必要なのか?そういったところを明確にしていないと、生徒さんの方が「なんでを今何やってんだろう?」「これなんか意味あるのかな?」と不安になってしまいます。そのため、今していること、しようとしていることが必要な理由や、どういう効果があるのかを事前にハッキリと説明しておくことが大切です。

さらに、今しようとしていることの歴史なんかも交えて説明できたらいいですね。例えばWebサイト制作のレスポンシブ対応を教えているところだったら、もともとWebサイトはデスクトップサイズでのみ閲覧されていたこと。スマートフォンやタブレットができて、デバイスの種類が増えたこと。そのため様々な幅に合わせて最適な表示をする必要が出てきた。そんな必要とされている歴史もあわせて説明できると理解されやすいかと思います。

2. 話させる

質問したくてもできない方ってやっぱりいるんですよね。そんなときは「何かわからないことある?」と聞くのではなく、「気になるところある?」「聞いておきたいことありますか?」という形で聞いてみると答えやすくなると思います。人によって違うと思うんですが、わからないということが恥ずかしいって思う方もいらっしゃるんですよね。「わからない = 自分がバカだと思われるんじゃないか」、さらにはわからない自分を責めちゃうという方もいらっしゃいます。

そのため「わからない」いうのを言いやすい環境にしてあげることが大切です。いかにどこでつまずいているか、何を考えているのかを、いかに引き出すかがポイントになってきます。

3. 見せる

教えてる側がどのように作業してるか、作業中にどういうところを見ているかを、画面共有するなり、対面で教えてるのであればこちらの画面を見せながら説明していくといいでしょう。コーディングするときは書いていく順序を見せることで気づけるポイントもあります。また、何かエラーや間違えがあった時に「先生はこういうところをチェックしてエラーを見つけているんだな」と思っていただけます。

私、以前書道を少し習ってたんですが、そのときすごく思ったんですね。書道はお手本がを見ながら書けばいいと思われがちですが、実際は先生が持ってるを筆の持ち方、筆の動かし方をしっかり見ることも大切です。ここは緩めてゆっくり書いて、ここはすごくはやく書くんだな、持ってる時の角度、書いている時の角度…そんなところすごく勉強になりました。

実際にやってる人、先輩や先生がやってる様子を見せないと伝わらないところもあると思います。

4. させる

実際に作業をしてもらうということですね。コードを見ただけだと、やはり書くのは難しいです。書籍を見て「こういうコードがあるんだなぁ」と思っても、実際に書くとなると、意外と角括弧とか波括弧などの記号の場所がわからない場合もあります。最初のうちは特にあると思うので、実際に書いてもらって繰り返して指や手で覚えてもらいましょう

スクールなどで教えているのであれば教材や課題があると思うので、そちらを利用するといいですね。そういった教材がなかったり、それだけだと足りないと感じるのであれば、簡単な問題でもいいので練習問題を作ってあげるといいでしょう。私がよく使っているのがCodePenです。CodePenだと画面やコードを共有して、お互い今どこを書いているのかがわかりますよ。過去記事「手を動かして学習しよう!コードチャレンジ HTML/CSS 初級編」でも練習問題を用意しているので、参考にしてみてください!

後は、用語の解説をしてもらったりもします。専門用語がすごく多い業界なので、それぞれの用語をちゃんと理解しているかを聞いてみます。例えば「ワイヤーフレームって何ですか」「Webフォントとはなんですか」などと聞いてみて、ちゃんと答えられるかを確認します。生徒さんによっては分かっているけど説明ができないという方もいらっしゃいます。説明をすることでより理解が深まるでしょう。質問するときは「私が何も知らない後輩だと思って説明してください」なんて聞いたりします。

5. 間違っても理由を聞く

最初のうちの単純なミスは、多くの場合数をこなせば慣れてくるので、あまり指摘すぎるのも良くないかもしれません。「なんかここ違うような気がするんですけど、どこが違いますかね?」といった形で、ちょっと指摘してあげるくらいでいいと思います。

単純なミスではなく、ガッツリ実装方法が間違っている場合もありますね。そんな場合でも本人なりに考えてそこまで書います。間違おうと思って書くわけではないので、何をしてどこを見てたらこうなったのかを引き出してあげましょう。

特に私が気をつけているところは「何で?」と言わないことです。純粋に、「なんでこうしたの?」と聞く場合が圧倒的に多いと思いますが、聞かれた側は人によってはすごく怖いと感じてしまいます。「なんでこうしたの?」「なんでこうなったの?」と聞かれると、すごく責められているように感じる人もいます。私がそうです。私も、小さい頃から「なんでこれしたの?」と聞かれると、それがたとえ怒ったようなトーンじゃなくても「あ、怒られる」って思っちゃうんですよね。

代わりに「こうしたかったんですかね?」「こうしたには何か理由があったんですか?」と聞いて、極力「なんで?」「なぜ?」などの言葉を使わないようにしています。

中でも「ダメ」という言葉は特に言わないようにしてます。「これやっちゃダメだよ」「だめじゃんこんなことしたら」と言われると、それこそ責められているように感じますし、全否定されているように捉えられちゃうこともあります。これも私がそうですね。

なので、大きなミスをしたとしても「なるほど、こうやったんですね」と一旦すべて受け止めて、その上でゴールと現状の説明をもう一度します。「最終的にはこうしたいです。で、今はこうなってます。この間に差がありますよね。」と比較をして説明しましょう。それを踏まえて解決への道筋を説明してあげといいですね。直接答えを教えるのではなく、あくまでその順序を教えるのがポイントです。

「ステップ1、ステップ2、ここまではよかったです。3つ目のステップでこうやったから、今結果こうなってるんですよね」という形で、正しくできたところと、ちょっとミスがあったところを分けて説明してあげるとわかりやすく、本人も落ち込まずに済むかなと思います。

ミスがあったところは、そこで答えを言うのではなく「ここ、こういうミスがあったんですが、どうすればよかったかな?」なんて聞くと、生徒さんの方も「ここ、こうかも知れません」「こうだったような気がします」と気づきやすくなりますし、「そうですね、ではどうするんでしたっけ?」という形で問答しながら答えを導くといいでしょう。そうすることで答えを教わったというよりも、自分で解決した、答えを出せたという感じが出てきます。その方が絶対に覚えやすいので、今後また同じミスを繰り返す可能性も低くなると思います。

6. ものすごく褒める

大人って褒められないですよね。「すごいですね、よくできましたね」なんて言われることはほとんどないと思います。なので少しでも、簡単なものでもできたら褒めることを意識すると良いと思います。大げさにほめられすぎると「なんやこいつ」ってなっちゃうので、一緒に喜ぶというスタンスでいると受け入れられやすくなるでしょう。

つまり、ものすごく褒めると言っても、毎回毎回「うわぁあ!すごいよ!ほんと天才だよ!!ゴッホひ孫!!腕がアップルペンシル!!!」なんてハイテンションで褒めるというのではなく、ちょっとしたことでもその都度褒める、ということですね。

間違えた時も指摘するだけではなく「こうすればより良くなるね」なんて言葉を添えてみるといいでしょう。「より良くなる」って凄く素敵な言葉だと思っているので、言われる側もやる気になってくれるんじゃないかなぁと思っています。

7. バカにしない

最初は誰でも初心者ですよね。わからないことばっかりです。質問する側は「これすごい変なことを聞いてるんじゃないかな」「当たり前のことを聞いてるんじゃないかな」と不安になったりします。そこで「こんなことも知らないんですか?」なんて言われると、やる気なくなりますよね。「また変な質問しちゃった…」と落ち込んじゃいます。

以前バンクーバーに住んでいた時に、宇宙の研究をしている友人がいまして、最初に会った時にそれを聞いて「宇宙!?すごい!何!?」と色々質問攻めをしたことがありました。でもその都度ちゃんと答えてくれて

友「ビームが…」
私「え?ビーム?なにそれかっこいいじゃん、どういうこと?」
友「ビームっていうのはね…ビームを作るのに素粒子が…」
私「素粒子?なになに?どうするの?」

たぶん彼にとってはアホっぽい質問を繰り返してたと思うのですが、5分ぐらいで済むような質問を1時間近くかけて、一つ一つ丁寧に答えてくれました。それも馬鹿にしてないからですよね。

バカにされたら、バカにしてきたその相手だけではなく、その対象の物事のことも嫌いになったり、印象が悪くなってしまいます。例えば絵を描いていて、自分で下手だなぁと思いながらも一生懸命描いたものを誰かに見せて「下手くそだなぁ」なんて言われたら、もう描きたくなくなっちゃいますよね。

どんな出来が悪くても、一旦それを受け止めて
「こうやってできたんですね」
「こういう風にしましょう」
「気になるところないですか?」
と聞いて、モチベーションを維持してあげるというのも、教えるときのすごく大切なポイントだと思っています。

まとめ

教える仕事をしていると、制作業務をするだけじゃない気づきも出てきます。つまずきやすいポイントや、伝わりづらいところも見えてくるので、どうやったらより伝わるかを考える機会になっています。伝えることはデザインすることと一緒だと思うので自分でもすごく勉強になっています。

教えるというよりも、応援する、支えるという気持ちでいると、相手にも伝わりやすくなると思います。今教える仕事をしている方も、これからやってみようかなと考えている方も、制作業務でも実際に後輩に教える機会がある方も、その点を意識してみるといいかもしれません。参考になれば幸いです!

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